靖國神社といえば、毎年ニュースで名前を聞くことが多い場所ですよね。でも「お参りしたことはないし、実際どんな場所かよく知らない」という方も多いのではないでしょうか。今回はそんな方にこそ読んでほしい、靖國神社で年に2回行われる最も重要なお祭り「例大祭(れいたいさい)」についてご紹介します。
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例大祭って何?
例大祭とは、神社で行われるお祭りの中でも最も格式の高い祭儀のことです。靖國神社では春(4月)と秋(10月)の年2回、それぞれ3日間にわたって行われています。
祭典の期間中は、拝殿や参道に特別な装飾が施され、普段とはまた違った厳かな雰囲気に包まれます。夜になると参道にかがり火が焚かれ、幻想的な光景が広がります。
3日間のプログラム、意外と知らない流れ
1日目:身を清める「気払い」
お祭りが始まる前日、奉仕する神職(しんしょく)は「潔斎(けっさい)」と呼ばれる儀式を行います。神社にこもり、飲食や言動を慎んで心身を清めるというもので、古来より受け継がれてきた作法です。
また、祭典で使用するすべての祭具を清める「気払い(きばらい)」も行われます。ここから、神様をお迎えするための準備が始まるんです。
2日目:例大祭のメイン「当日祭」
2日目に行われるのが、例大祭の中核となる「当日祭(とうじつさい)」です。
本殿では宮司(ぐうじ)が、我が国と世界の平安を祈る「祝詞(のりと)」を奏上します。参道では、礼装に身を包んだ神職たちが列をなして本殿へと参進していく姿を間近で見ることができます。
そして、この日に特別なことが起こります──天皇陛下のお使いである「勅使(ちょくし)」が参向されるのです。陛下からの御供え物(幣帛・へいはく)が奉られ、陛下のお言葉(御告文・おつげぶみ)が奏上されます。
全国の神社でも例大祭は行われていますが、年2回の例大祭のどちらにも勅使が参向されるのは、靖國神社だけです。それだけこの神社が特別な位置づけにあることがわかります。
3日目:祭典を締めくくる「翌日祭」
最終日には「翌日祭(よくじつさい)」が行われます。前日の例大祭が無事に終わったことを神様に報告し、感謝の誠を捧げて祭典の幕を閉じます。静かではありますが、とても大切な儀式です。
50台以上!圧巻のお供え物
例大祭の見どころのひとつが、本殿に奉備される神饌(しんせん)──神様へのお供え物です。
「三方(さんぼう)」と呼ばれる木製の台にのせられたお供え物は、なんと50台以上にも及びます。これだけの台数が並ぶのは、全国の神社でも非常に珍しい光景です。
お供えの中身もユニークで、山の幸・海の幸といった定番のものに加え、英霊(戦没者の御霊)が生前お召し上がりになっていた食べ物やお酒、タバコなども備えられます。「その人が好きだったものを捧げたい」という、温かくも深い想いを感じますよね。
1500人以上が集まる一大祭典
例大祭には、皇族の方々をはじめ、国会議員、全国の神社関係者、遺族・崇敬者(すうけいしゃ)など、1500人を超える方々が参拝されます。
また、内閣総理大臣・衆参両院議長・国務大臣からの「玉串料(たまぐしりょう)」も奉納されます。これほどの規模の参拝者を受け入れるために、祭典が2日間にわたって設けられているというわけです。
なぜ、毎年続けられているのか
靖國神社の例大祭は、幕末の戊辰戦争から始まり、日清・日露戦争、大東亜戦争に至るまで、国のために命を捧げたすべての戦没者を慰霊し、感謝の誠を捧げるために毎年続けられています。
明治2年(1869年)の御創立以来、英霊をお慰めし、平和を祈る場として今日まで受け継がれてきた祭典です。「戦争のための場所」という印象を持たれることもありますが、その本質は「尊い命への感謝」と「平和への祈り」にあります。
参拝したい方へ:誰でも参拝できます
例大祭の期間中は、どなたでも自由に参拝することができます。
- 正式参拝の受付:当日祭・翌日祭ともに、午前中の儀式が一段落する正午頃から14時頃まで
- 夜間参拝:例大祭期間中は夜20時まで、拝殿前で参拝が可能です
夕暮れ時から参道に灯るかがり火の光の中、静かに手を合わせてみるのも、特別な体験になると思います。
おわりに
靖國神社では、1年365日、毎日が246万6000余柱(はしら)の英霊のどなたかの命日です。年間1000を超える祭典が、日々粛々と行われています。
「なんとなく行きにくい」と思っている方もいるかもしれませんが、例大祭は誰もが参拝できる開かれた場です。歴史や政治的な背景を超えて、「誰かの大切な人を偲ぶ場所」として、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
参考:靖國神社公式動画「靖國神社を知ろう ー例大祭ー」










