霞が関、厚生労働省の正面玄関の脇に、ひっそりと立つ一枚の石碑をご存知でしょうか。
「誓いの碑」。
刻まれているのは「命の尊さを心に刻み、医薬品による健康被害の再発防止に誓いを新たにする」という言葉です。1999年8月24日、薬害エイズ事件という日本医療史最大級の悲劇を経て建てられたこの碑は、今日でちょうど27年を迎えました。
けれど、この石碑が建った後も、日本の薬害史は静かに続いています。
サリドマイド、スモン、薬害エイズ、薬害肝炎――どの事件にも、恐ろしいほど共通するパターンがありました。「海外からすでに危険性の情報が上がっていた」「にもかかわらず対応が遅れた」「被害が拡大してから、ようやく動いた」。
そして今、厚労省自身が公表している資料には、ある異例の数字が並んでいます。新型コロナワクチンをめぐる健康被害救済制度の累計認定件数は9千件を超え、死亡として認定された件数も1千件を上回りました。コロナ禍以前、従来型ワクチン全体の審査件数は年間およそ100件だったことを考えると、この数字がどれほど桁違いか、想像がつくのではないでしょうか。何十年もかけて積み上がってきた「それまでの全ワクチンの被害認定の合計」を、たった一つのワクチンが、わずか数年で塗り替えてしまった――これは噂ではなく、厚労省自身が公表している一次資料に基づく事実です。
もちろん、これは単純に「危険だった」と断定できる数字ではありません。しかし、これほどの規模の記録が、なぜここまで静かなままなのか。天下り構造、情報公開のタイムラグ、メディアと広告主の関係、審査機関の財源構造――薬害が繰り返される背景には、いくつもの構造的な要因が横たわっています。大切なのは、感情的に誰かを断罪することでも、逆にすべてを陰謀だと決めつけることでもなく、公開されている一次資料に、自分の目で一度触れてみることだと思います。
「誓いの碑」の前を、ただ通り過ぎないために。
本編では、日本の薬害史を辿りながら、厚労省の「反省」が本当に機能しているのかを、事実ベースで深掘りしています。続きは、ぜひ本記事でご覧ください。














