2021年9月、2度目のワクチン接種を終えた翌朝。27歳の息子は37.2度の微熱を出していました。「この程度なら大丈夫だろう」——家族はそう胸をなでおろしました。しかしその日の夜、彼は静かな自室で、二度と目を覚ますことはありませんでした。
死因は「原因不明の循環器疾患」。医師は心筋炎の疑いを口にしました。
その後、国の対応をめぐって明らかになったのは、あまりに残酷な「タイミング」のずれです。厚生労働省が若年男性向けに心筋炎リスクを周知するリーフレットを公開したのは、彼が接種を受けたわずか18日後でした。しかも、日本が「重大な副反応」として正式に位置づけを引き上げたのは、彼の死から3ヶ月も経ってからのこと。欧米ではすでに半年も前から警鐘が鳴らされていたリスクです。
さらに厚労省が後に公表したデータを見ると、彼が該当していたのは「モデルナ×20代男性」という、心筋炎の報告頻度が突出して高い層でした。国はこの傾向を把握していながら、なぜもっと早く、もっと分かりやすく伝えなかったのでしょうか。
そして今、遺族が起こしている裁判の背後にあるのは、単なる補償の問題ではありません。「知る権利」がどこまで守られていたのか、という民主主義そのものへの問いです。
- なぜ「救済制度」は認定されたのに、「因果関係」は今も認められていないのか
- 世界と日本の間に生まれた”半年”という空白は何だったのか
- 命を分けたかもしれない「18日間」に、何が起きていたのか
一家族の悲劇として片づけてしまう前に、私たち自身に問いかけたいことがあります。
もし、あなたの手元にリスク情報が届くのが1日遅かったとしたら——あなたはその判断に、責任を持てますか。
続きでは、国の制度の矛盾、国際比較、具体的な数字のすべてを詳しく検証していきます。
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