2026年7月1日。カレンダーの上では、なんの変哲もない水曜日です。
でもこの日、中国という国の「法律」が、地球の裏側に住む私たち日本人の言論にまで手を伸ばしてくることになります。
「民族団結進歩促進法」。聞き慣れない名前ですよね。漢字ばかりでいかにも官僚的、いかにも「自分には関係ない話」に見えます。でも、中身を知れば知るほど、背筋が寒くなるはずです。
なぜなら、この法律の第63条には、こう書かれているからです。
「中国国外の組織・個人が民族団結を破壊し、民族分裂を作り出す行為を行った場合、法的責任を追及する」
つまり、日本に住んでいて、日本のパスポートを持っていて、一度も中国に足を踏み入れたことがなくても——あなたがSNSでウイグルやチベットの人権問題に触れたり、台湾の独立を支持するような発言をしたりすると、中国共産党の基準で「犯罪者」に認定されうる、ということです。
「いや、法律にそう書いてあっても、実際に日本にいる日本人を逮捕できるわけじゃないでしょう」
そう思う方も多いはずです。私も最初はそう思いました。
でも、これが決して「絵に描いた餅」ではないと確信するに至った、ある”前科”があります。
2023年、日本の大学に留学していた香港人の女子学生が、2年前に日本国内のSNSに投稿した内容を理由に、帰国後の香港で逮捕されたのです。香港国家安全維持法が、香港以外の外国での言動に適用された初めてのケースでした。
「日本にいる間は安全」という前提は、もはや成立しないのかもしれません。投稿した瞬間ではなく、何年も後になって、何かのきっかけで突然「過去の発言」を理由に拘束される——そんな未来が、すでに現実として起きているのです。
国安法施行から民族団結法成立まで、ちょうど6年。この6年間、習近平政権は域外適用がどこまで通用するか、国際社会がどこまで黙認するかを、じっくりと観察・実験してきたのではないでしょうか。
そして「これはいける」と判断したからこそ、今度はウイグルやチベットだけでなく、対外発信、台湾、海外華僑まで網羅する、より包括的な形でこの法律を完成させた——そう考えると、辻褄が合ってしまうのです。
国安法が「一つの地域」を封じた法律だとすれば、民族団結法は「一つの思想」を世界規模で封じるために設計された法律。
なぜ今、このタイミングで、これほど包括的な”対外弾圧インフラ”を完成させる必要があったのか。台湾有事が現実味を帯びる中、この法律が果たそうとしている本当の役割とは何なのか。
欧州議会がすでに非難決議を採択し、犯罪人引き渡し条約の停止まで求めている、この異例の事態。
私たち日本人は、具体的に何に気をつけるべきなのか——続きは本編で、できる限り深く、できる限り冷静に掘り下げています。














