2025年、コロナ禍の記憶がまだ新しいなか、国際エネルギー機関(IEA)がひっそりと発表した報告書が、海外の保守系メディアを中心に波紋を広げています。報告書のタイトルは「Sheltering from Oil Shocks(石油ショックからの避難)」。中東での石油供給中断という想定シナリオに対応するための”緊急需要削減策”が、10項目にわたって提言されているのですが、その内容が、かつてのコロナ禍のロックダウン政策と、あまりにも似通っているのです。
アメリカの保守系ラジオホスト、シャノン・ジョイはこの報告書を「ロックダウン2.0」と直接的に表現しました。彼女の指摘は単なる過剰反応ではなく、読めば読むほど「あのとき」を思い出させる内容になっています。
報告書が提言する主な施策はこうです。まず道路交通については、在宅勤務の推進、速度制限の10km/h以上の引き下げ、さらにナンバープレートの奇数・偶数によって走行日を交互に制限するという「交互通行制度」の導入。
次に航空については、「非必需フライト」の回避を呼びかけ、事実上、民間人の自由な移動を制限することを示唆しています。そして調理については、ガスコンロから電気調理器具への切り替えを促進するとされています。これらに加えて、石油備蓄4億バレルの放出によって消費者の負担を和らげるという経済的な手当ても組み合わされています。
2020年のコロナ禍と比較してみると、その構造的な類似性が際立ちます。あのときも「緊急事態」という大義のもと、移動の制限、在宅勤務の強制、そして生活様式の転換が次々と実施されました。そして多くの人が「これは一時的な措置だ」と信じていた。
では今回は?「石油ショック」という大義名分のもとで、似たようなパッケージが再び展開されるとしたら——と考えることは、今の時代において決して荒唐無稽ではないのです。
陰謀論的な視点から見れば、この手の報告書は常に”シナリオ”として準備されます。実際に石油ショックが起きたときにすぐ動けるよう、各国政府や国際機関が”緊急措置の正当化ロジック”をあらかじめ積み上げておく、という構図です。コロナ禍でも、ロックダウン政策の多くは事前にシミュレーションされており、2019年のEvent 201(感染症パンデミックの机上演習)がよく引き合いに出されます。今回の報告書が同様の”予行演習”的機能を持つものだとすれば、私たちは「準備される側」ではなく「準備する側」に意識を切り替える必要があります。
さらに日本固有の文脈でいえば、「緊急事態条項」の問題が浮かび上がります。現在、日本では憲法改正論議の一環として緊急事態条項の創設が議論されていますが、もし国際的なエネルギー危機が起きたとき、この条項が発動される口実として使われる可能性はゼロではありません。「どさくさに紛れて動く」のは、歴史を通じて権力者が繰り返してきた常套手段です。コロナ禍でもそうだったように、危機のさなかに静かに法律が変わり、制度が整備され、気づけば元の日常には戻れなくなっていた——という事態を防ぐためにも、私たち市民の監視の目は不可欠なのです。
IEAの報告書は、あくまでも”提言”です。しかし提言が政策になり、政策が義務になる速度は、コロナ禍が証明したとおり、驚くほど速いのです。











