2025年上半期、X(旧Twitter)が公開した透明性レポートに、日本中が気づくべき驚愕のデータが静かに記されていました。
日本政府によるXへの投稿削除要請件数:69,186件
世界全体の総件数は97,006件。つまり、地球上の全国家・地域が合計しても約10万件弱なのに、そのうち71.3%が日本からの要請というわけです。
ちょっと待ってください。日本は世界の国の数でいえば195カ国のうちのひとつです。人口でも世界の1.5%ほど。それなのに、SNSへの投稿削除要請では世界の71%超を占めている。
この異常さ、本当に理解できていますか?
アメリカ、イギリス、中国、ロシア、サウジアラビア——世界中の政府を全部足しても28.7%(27,820件)にしか過ぎません。民主主義の旗手を自認する日本が、権威主義国家として名指しされることも多いロシアや中国の合計よりも、はるかに多くの「消せ」という要請を出しているという現実。これは何を意味しているのでしょう。
この記事では、その数字の意味を徹底的に深掘りしていきます。陰謀論と切り捨てるのは簡単ですが、データは嘘をつきません。むしろ、「なぜこんな事実がほとんど報道されないのか」という問いこそが、今の日本社会を映す鏡になっているとも言えます。
まず確認しよう——「削除要請」って何?
Xのような大規模SNSプラットフォームには、世界各国の政府・行政機関から「この投稿・アカウントを削除してくれ」「この情報を非表示にしてくれ」という要請が日々届きます。これが「法的削除要請(Legal Removal Request)」です。
表向きには、誹謗中傷・著作権侵害・プライバシー侵害・偽情報など、ルールに違反するコンテンツを対象にしている——という建前です。Xはこれを透明性レポートとして半年ごとに公表しており、今回の数字はその公式データです。
問題は、何が削除されたかの中身が明らかにされていないという点にあります。
「誰の」「どんな投稿が」「何を理由に」削除を求められたのか。日本政府はこれを公開していません。また、Xのポリシー上、政府からの削除要請に対してユーザーが異議申し立てをできる仕組みは事実上存在しません。
あなたの投稿が、気づかないうちに政府の要請で消されていたとしても、あなたはそれを知ることさえできないのです。
憲法21条という壁——それでも誰も語らない理由
日本国憲法第21条はこう定めています。
第一項:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。 第二項:検閲は、これをしてはならない。
「検閲はしてはならない」。これは絶対的な規定です。例外はありません。
法律の専門家の間では「政府がSNSプラットフォームに特定の投稿を削除させることが、憲法21条2項の『検閲』に該当するかどうか」という議論があります。厳密には、憲法21条の「検閲」は「表現物の発表前に行政機関がその内容を審査し、不適当と認められるものを発表禁止にすること」(最高裁の定義)とされており、すでに公開された投稿の削除要請がこれに直接あたるかどうかは解釈が分かれます。
しかし、実質的な効果はどうでしょうか。
政府が「この投稿を消せ」と要請し、プラットフォームがそれに応じ、ユーザーはそれを知ることさえできない——これが検閲でないとしたら、何と呼べばいいのでしょう。
アメリカでは、政府機関がSNS企業に対して特定コンテンツの削除を「圧力」によって促すことは、修正第一条(言論の自由)の侵害にあたると連邦裁判所が判断した事例が複数存在します。2023年のMurthy v. Missouriはその代表例のひとつです。アメリカでさえ、政府とSNSの癒着については厳しい目が向けられているのです。
日本では、この問題がほとんど公に議論されていません。なぜでしょう。
以下で、さらに深掘りします。














