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まずは「知る事」から始まる

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街ですれ違う人、銀行の窓口の担当者、空港のゲートを通り抜けた旅行者……その「顔」が本物かどうか、あなたは自信を持って見分けられますか?映画『ミッション:インポッシブル』の世界だと思っていた「完璧ななりすまし」が、すでに現実の問題になりつつあるんです。

5人に1人は騙される、という衝撃の研究結果

イギリスのヨーク大学と日本の京都大学の共同研究チームが行った実験は、なかなか衝撃的な内容でした。240人の参加者に対して、「本物の顔の写真」と「超リアルなシリコンマスクをつけた人の写真」を見比べてもらい、どちらがマスクかを当ててもらうというものです。

結果は「5回に1回はマスクだと見抜けなかった」というものでした。しかもこれ、「マスクかもしれない」と意識しながら写真を見比べている状況での話です。実際に街を歩いているとき、誰かがマスクをつけているなんて思いもしない状態であれば、もっと簡単に騙されてしまうと研究者たちは指摘しています。

ヨーク大学心理学部のロブ・ジェンキンス博士は「現実世界でのミス率はさらに高くなるはずだ。なぜなら多くの人はそもそも超リアルなマスクの存在を知らず、見破ろうとも思っていないから」と述べています。

1枚で「別人」になれる技術的クオリティ

これらのマスクはそもそも、映画やエンターテインメント業界向けの特殊メイクの延長線上に生まれたもので、頭部・首・上胸部を覆う1枚の柔軟なシリコン素材でできており、着用者の顔にぴったりとフィットするよう設計されています。

そばかすのひとつ、しわのひとすじ、毛髪の一本にいたるまでリアルに再現されたこれらのマスクは、現在1枚あたり約1,000ポンド(日本円で約20万円前後)の価格帯で販売されています。決して安くはありませんが、犯罪目的で使う人間にとってはコストパフォーマンスが高すぎる道具と言えるかもしれません。

さらに、手作業による精密な塗装や本物の人毛を使った仕上げなど、オーダーメイドの精巧な製品も登場しており、年間の販売数は推定2,000〜4,000枚に上るとも言われています。かつては「映画のプロ向け」だったものが、今やオンラインで誰でも購入できる時代になっています。

すでに世界各地で使われている、リアルな犯罪事例

「でも実際に犯罪に使われているの?」と思うかもしれませんが、残念ながらもう「過去形」ではありません。

過去10年間で、このタイプのマスクを使った犯罪行為が40件以上確認されています。イギリス国内だけでも、2009年の宝石強盗、2012年に連続14件発生した銀行強盗、2015年にも宝石強盗と、3つの事例が確認されています。

中でも特に話題になったのが、フランスの大臣になりすました国際詐欺グループの事件です。このグループはシリコンマスクを使ってフランスの大臣を装い、企業トップとのビデオ通話でなりすましを行い、8,000万ユーロ(当時のレートで約100億円)もの詐欺を働きました。単なる「変装」ではなく、国際的なビジネス詐欺の道具として使われているのです。

アメリカでは「ギーザー・バンディット(老人強盗)」と呼ばれた人物が話題になりました。カリフォルニア州南部で複数の銀行強盗を繰り返したこの人物は老人に見えましたが、実際には30歳のポーランド系移民で、6人もの銀行員がリアルな老人マスクに騙されていたのです。

中国でも状況は深刻です。強盗事件が相次いだことで、一部のECサイトではシリコンマスクの検索自体を検閲するほどの事態にまで発展しているといいます。

空港の「パスポート確認」でさえ突破できる

さらに恐ろしいのが、パスポートチェックのような厳格なセキュリティでも効果を発揮するという事実です。ロンドン科学博物館で行われた実験では、54人の来場者が模擬パスポート検査でマスク着用者と2メートルの距離で対面しましたが、マスクの存在に気づいたのはわずか13%に過ぎませんでした。

実際の犯罪事例としても、若いアジア系の男性が盗んだ高齢の白人男性のパスポートを使い、超リアルなマスクで変装して香港空港の複数の本人確認を通過し、カナダ行きの飛行機に搭乗することに成功した事例が記録されています。顔認証も、目視チェックも、あっさりと突破できてしまったわけです。

「顔」が信頼の根拠にならない時代

この問題が特に厄介なのは、私たちが日常生活で「顔を見ること」をほぼ無意識に「本人確認」として使っているという点です。「顔が見えているから安心」という感覚が、根底から揺らいでしまうかもしれません。

2024年の最新研究では、顔認識能力に特別に優れた「スーパー・レコグナイザー(超識別者)」と呼ばれる人たちでも、あらかじめマスクの存在を知らされない状況では検出率が下がることが確認されています。つまり「目が鋭い人なら見抜ける」という話でもないようです。

技術はこれからもさらに進化していきます。AIや3Dスキャン技術の発展により、特定の人物の顔をコピーしたオーダーメイドのマスクも精度が増していくと予想されます。デジタル世界ではディープフェイクが問題になり、リアルの世界ではシリコンマスクが問題になる——「誰かの顔」を信頼の基準にすること自体、これからの時代では再考が必要になってくるのかもしれません。

あなたの隣に座っているその人の顔、本当に「その人」のものですか?ちょっとゾクッとしてしまう問いですが、それが今の技術が突きつけているリアルな現実なんです。

上城 孝嗣

日本を愛する人と繋がりたい🇯🇵🌸毎日「気づき」を提供するために発信中! 嘘を教える教育や、メディアに破壊され続けてきた日本人の魂。まずは何事にも好奇心を持ち、世界にも目を向ける事。これまで知らなかった多くの事を学ぶと全てが繋がって真実が見えてきます。 「知らないのは恥ではない、知ろうとしないのが恥である」

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