もし、子どもが通う図書館から、ある日突然お気に入りの漫画が消えていたとしたら。
「盗まれた」のでも「紛失した」のでもありません。誰かが正式な手続きを経て、「この本は危険だ」と判断し、棚から撤去した——それが今、アメリカのあちこちで起きていることです。
しかも対象になっているのは、日本人にとってあまりに馴染み深い作品ばかり。『ONE PIECE』『ジョジョの奇妙な冒険』『進撃の巨人』、村上春樹の『海辺のカフカ』まで。いずれも実際に、アメリカのどこかの図書館で「不適切」の烙印を押されています。
震源地の一つ、イリノイ州の小さな町では、こんな言葉が語られました。
「サタンがこの町に入り込み、子どもたちを狙っている」
牧師が説教でこう語った数日後、地元の図書館には普段見たことのないほどの住民が押し寄せます。争点は、たった一枚の方針文書。しかし対立は「保守 vs リベラル」という単純な図式には収まりません。同じ教会の中にも賛否が割れ、司書は職を追われ、街は分断されていきました。
なぜ日本の漫画がここまで標的にされるのか。その裏には、ある州の法改正と、「好色的な関心」という、驚くほど曖昧な一文が関わっています。
これは対岸の火事でしょうか。それとも、私たちの足元にも忍び寄る問いなのでしょうか。
――続きは本編で、事実とデータ、そしていくつかの「見立て」をもとに、深く掘り下げています。













