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まずは「知る事」から始まる

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神社や寺を訪れたとき、ふと見上げた屋根の軒先や、柱と梁が交わる複雑な構造に「これ、どうやって作ってるんだろう?」と思ったことはありませんか? 実はあの美しい構造こそが、「木組み(きぐみ)」と呼ばれる日本の伝統的な建築技術なのです。

木組みとは、釘も接着剤も金属部品も一切使わずに、木材に精巧な切り込みを入れ、互いにはめ合わせて組み上げていく技術のことです。「継ぎ手(つぎて)」や「仕口(しぐち)」と呼ばれる接合部分を、職人が一つひとつ手で加工し、ピタリと組み合わせていきます。一見シンプルに見えますが、その技法は200種類以上にも及び、用途や木材の特性、建物の構造によって使い分けられているのです。

この技術の歴史は古く、7世紀頃には既に社寺建築に用いられていたと言われています。法隆寺や東大寺など、1000年以上の歳月を経て今もなお現役で立ち続けている建築物の多くが、この木組みによって支えられています。鉄もコンクリートも存在しなかった時代に、職人たちは純粋に「木の声を聞く」ことで、あれほどの建造物を生み出していたのです。

木組みが特に優れているのは、その「粘り強さ」にあります。釘で固定した構造は、強い力がかかると一点に負荷が集中して一気に折れてしまいますが、木組みはわずかにしなりながら力を分散させ、揺れを受け流すような性質を持っています。地震大国である日本で長きにわたって使われ続けてきたのは、決して偶然ではありません。先人たちは経験と観察を重ね、地震に強い建築の形を見つけ出していたのです。

現代では、木造住宅や家具、さらには工芸品の制作にも木組みの技術が活かされています。ダボやほぞを使った家具は、使い込むほどに木材がなじんでいき、長く愛用できる強度を生み出します。海外のDIY文化でも近年注目を集めており、「Japanese joinery」という言葉でSNSに動画が投稿されると、瞬く間に世界中で何百万回も再生されるほどの関心を集めています。

それなのに、肝心の日本人にとっては「なんとなく見たことあるかも」程度の認識で留まってしまっているのが現状ではないでしょうか。学校でも教わらず、身近に職人がいるわけでもなく、気がついたら「知らないまま大人になった技術」の一つになってしまっているのです。

しかし、少しだけ視点を変えてみると、日常の中に木組みは意外なほど溢れています。近くの神社の拝殿をよく見てみてください。柱と梁の接合部分、軒を支える斗栱(ときょう)と呼ばれる組み物、それらはすべて釘なしで組み上げられた木組みの集合体です。その精巧さに気づいた瞬間、ただの「古い建物」が全く違って見えてきます。何百年も前の職人が、どんな道具で、どんな気持ちであの木を刻んだのかを想像すると、それだけで胸が熱くなる感覚があるのです。

先人たちが知恵を出し合い、試行錯誤を繰り返しながら磨き上げてきた技術には、理屈では説明しきれないパワーがあります。触れるだけで、何か大切なものを受け取るような感覚があるのです。それは単なる「古い技術の保存」ではなく、現代に生きる私たちが受け継ぐべき、生きた知恵の結晶と言っても過言ではないのです。

次に神社やお寺を訪れるとき、ぜひ少しだけ足を止めて、木と木が交わるその接合部分を眺めてみてください。きっとそこには、静かに、でも力強く、何かを語りかけてくる職人の魂が宿っているはずです。

上城 孝嗣

日本を愛する人と繋がりたい🇯🇵🌸毎日「気づき」を提供するために発信中! 嘘を教える教育や、メディアに破壊され続けてきた日本人の魂。まずは何事にも好奇心を持ち、世界にも目を向ける事。これまで知らなかった多くの事を学ぶと全てが繋がって真実が見えてきます。 「知らないのは恥ではない、知ろうとしないのが恥である」

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