がんと診断された瞬間、多くの人は手術・抗がん剤・放射線という「標準治療の三本柱」に全てを委ねようとします。それ自体を否定するつもりはありませんが、「そもそもがん細胞が何を食べて生きているのか」という視点を持っている患者さんは、意外なほど少ないんですよね。
目次:Contents
ボストン大学のトーマス・セイフリード博士が語る「がんの正体」
神経遺伝学とがん代謝の研究で知られるトーマス・セイフリード博士は、がんを「遺伝子の病気」ではなく「代謝の病気」として捉え直すべきだと主張しています。博士の主張の核心はシンプルで、「がん細胞はブドウ糖(グルコース)とグルタミン酸(グルタミン)を主なエネルギー源として生きている。だから、その燃料を断てばいい」というものです。
この考え方の土台となっているのが、1920年代にオットー・ワールブルクが発見した「ワールブルク効果」です。正常細胞がミトコンドリアで酸素を使ってエネルギーを生産するのに対し、がん細胞は酸素があっても解糖系という非効率な経路でブドウ糖をエネルギーに変えようとします。これはがん細胞のミトコンドリア機能が著しく低下していることを意味していて、裏を返せば「ブドウ糖さえなければがん細胞はエネルギー不足に陥る」ということでもあります。
さらに2013年のJournal of Clinical Investigation掲載の研究では、グルタミン依存性についても科学的な裏付けが示されており、がん細胞が糖だけでなくグルタミンという特定のアミノ酸も積極的に取り込んでいることが明らかになっています。
「血糖値が高いほど、がんは爆速で増殖する」という現実
ここで少し怖い話をします。血糖値が高い状態というのは、がん細胞にとって言わば「食べ放題のビュッフェ状態」です。インスリンやIGF-1(インスリン様成長因子)が上昇することで、がん細胞の増殖シグナルがさらに強化されてしまうことも研究で示されています。
逆に言えば、血糖値を意図的に下げることができれば、がん細胞の増殖スピードを鈍化させられる可能性があります。セイフリード博士が提唱するのが炭水化物制限(ケトジェニックダイエット)と水断食の組み合わせです。糖質を極端に減らすことで血糖値を低く保ち、体はブドウ糖の代わりに脂肪を分解してケトン体をエネルギーとして使うようになります。正常細胞はケトン体を利用できますが、代謝が壊れているがん細胞はケトン体をうまく使えない——これが「がんだけを兵糧攻めにする」という戦略の肝です。
断食模倣食(FMD)の動物実験が示す希望
2021年にCell Metabolismに掲載された研究では、断食の状態を食事で模倣する「断食模倣食(FMD)」が腫瘍の成長を有意に抑制したという動物実験の結果が報告されています。断食そのものはハードルが高くても、カロリーと糖質を大幅に制限した特定の食事パターンで同様の効果が期待できるとすれば、実践のハードルはぐっと下がりますよね。
ここで少し「陰謀論的視点」も添えておきます
あくまでも一つの見方として聞いてほしいのですが——抗がん剤や放射線治療は、製薬業界にとって巨大なビジネスです。一方で「砂糖を断つ」「断食をする」というアプローチは、誰かが大きなお金を稼げるものではありません。だとすれば、こうした代謝アプローチに対する研究費が圧倒的に少なく、医療の現場でほとんど語られないのには、純粋に科学的な理由以外の力学も働いているのでは?と感じる研究者や患者さんが少なくないのも事実です。
もちろん、製薬会社や医療機関が悪意を持って情報を隠しているとまでは言い切れません。ただ、「お金にならない治療法は研究されにくい」という構造的な問題は、医療経済学の観点からも指摘されており、完全に荒唐無稽な話でもないんです。
大切なのは「知った上で選ぶ」こと
セイフリード博士の主張は、標準治療を完全に否定するものではありません。むしろ「標準治療と組み合わせることで、より効果が高まる可能性がある」という文脈で語られることが多いです。個人差も当然あり、すべての人に同じ効果が出るとは限りません。
ただ、「自分のがん細胞が何を食べて生きているのか」を知ることは、治療の選択肢を広げる上でとても重要な視点だと思います。白米、パン、砂糖たっぷりのスイーツ——それらが大好きな生き物が、あなたの体の中にいるとしたら、食事を見直すことはリスクがほとんどない「まず試せること」の一つではないでしょうか。
がんに診断されたその日から、あなたは「何を食べるか」を選ぶ権利を持っています。その選択が、がんへの戦い方を変えるかもしれないんです。
本記事はあくまでも情報提供を目的としており、医療行為の代替を推奨するものではありません。治療方針については必ず担当医にご相談ください。







