フランスとイタリアの間で、いま静かに、しかし確実に火花が散っています。
きっかけはフランス国内で起きた極右活動家の殺害事件。イタリアのジョルジャ・メローニ首相がこの事件に言及したところ、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が「他国への干渉だ」と猛反発しました。これに対しメローニ首相は一歩も引かず、「私が表明したのは民主主義全体への懸念であり、干渉ではない」と即座に反論。さらに一歩踏み込んで、「外国政府による選挙監視こそが真の干渉ではないのか」と、マクロン大統領の過去の行動そのものを問題視するコメントを放ちました。
この応酬、表面的には「外交マナーの問題」に見えますが、その奥底には欧州の政治構造を揺るがすほどの深い対立が潜んでいます。
「赤い旅団」亡命問題という古傷
メローニ首相がさらに持ち出したのが、フランスがかつてイタリアの極左テロ組織「赤い旅団」のメンバーに政治亡命を認めていたという歴史的事実です。赤い旅団といえば、1970〜80年代にイタリアを恐怖に陥れた武装組織。元首相アルド・モーロを誘拐・殺害したことでも世界に名を轟かせました。そのメンバーたちが、国境を越えたフランスで「政治難民」として保護されていたという事実は、イタリア国民にとって今も癒えない傷です。
メローニ首相はこの歴史を意図的に引き合いに出し、「イタリアの主権と安全保障を脅かしてきたのはどちらの側か」と暗に問いかけています。これは単なる歴史の蒸し返しではなく、「フランスは昔から左派の論理でイタリアの内政に介入してきた」という強烈なメッセージです。
マクロンは本当に「民主主義の守護者」なのか?
ここで少し視点を変えて考えてみましょう。マクロン大統領は欧州統合の旗手として自らを演出し、「自由と民主主義の守護者」を標榜してきました。しかしその実態はどうでしょうか。
国内では黄色いベスト運動(ジレ・ジョーヌ)への強硬な弾圧、年金改革の強行採決、そして今や支持率は低迷し続けています。フランス国内の世論調査では、マクロン大統領を支持する国民は少数派に過ぎないという状況が長らく続いています。「戦争屋」と呼ぶ声もあながち過激とは言えず、ウクライナ紛争においてはヨーロッパの首脳の中でも特に強硬な姿勢を取り続け、「欧州軍の派遣も排除しない」という発言で物議を醸したのも記憶に新しいところです。
陰謀論的視点から読み解く「欧州エリートの焦り」
ここから少し踏み込んだ見方をしてみます。
メローニ首相をはじめとする欧州各国の右派・中道右派の台頭は、ブリュッセルのエリート層やグローバリスト的な既得権益層にとって、大きな脅威と映っているはずです。欧州議会選挙でも右派勢力が躍進し、EUの「一枚岩」が崩れつつある現実があります。
一部の論者が指摘するのは、こうした「主権派」と呼ばれる勢力への封じ込め工作が、水面下で行われているのではないかという疑念です。選挙への外部干渉、メディアを通じた世論誘導、NGOを介した政治資金の流れ——これらがすべて偶然の一致で、特定の政治方向を向いているとしたら、「見えない手」の存在を疑いたくなるのも無理はないでしょう。
メローニ首相が「外国による選挙・政府監視こそ干渉だ」と発言したのは、こうした文脈の中に置くとより鮮明に見えてきます。誰が、何のために、どの国の政治を「監視」しているのか——その問いは欧州全体に突きつけられた問いでもあります。
欧州の時代が変わろうとしている
マクロン大統領がメローニ首相のコメントを「干渉」と批判した背景には、「自分たちのルールに従わない者を排除したい」という旧来のエリート意識があるのかもしれません。しかし時代は変わりつつあります。イタリア、ハンガリー、スロバキア、そして選挙のたびに右派が票を伸ばす各国——民衆の「NO」の声は確実に大きくなっています。
フランス国民に十分な支持を得られないまま、強権的な姿勢で欧州の「秩序」を守ろうとするマクロン大統領が、いつまでその椅子にしがみつけるのか。メローニ首相との火花散る応酬は、その問いを改めて欧州の表舞台に引きずり出した出来事だったと言えるでしょう。
欧州政治の地殻変動は、まだ始まったばかりです。
メローニ首相は、マクロン大統領に「民主主義全体への懸念表明」フランスの極右活動家殺害事件へのコメントに対し、マクロン大統領から「他国干渉」と批判されましたが、これを「民主主義全体への懸念表明」と反論し、外国による選挙政府監視こそ真の干渉だと指摘。… pic.twitter.com/BcnAbXnvX8
— 🌸上城孝嗣 | 因果の法則 | 彌栄 | 感謝 🙏 (@taka_peace369) February 21, 2026







