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まずは「知る事」から始まる

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一枚の写真が語る、見えない権力のネットワーク

大英笹川財団の会合で、にこやかに談笑する二人の男性。一人は日本船舶振興会(現・日本財団)を率いた笹川良一。もう一人は、メディア王として知られたロバート・マックスウェル。

一見すると、慈善事業を通じて世界平和に貢献しようとする紳士たちの穏やかな交流のように見えるこの光景。しかし、この写真の裏側には、諜報機関、国際金融、そして現代史に残る性犯罪スキャンダルを結びつける、複雑で暗い糸が張り巡らされていた。

ロバート・マックスウェルとは何者だったのか

ロバート・マックスウェル(1923-1991)は、チェコスロバキア出身のユダヤ系英国人で、出版業で巨万の富を築いた人物です。デイリー・ミラー紙などを所有し、「メディア王」として英国社会に君臨していました。

しかし、彼の真の顔は別のところにありました。

1991年、マックスウェルはカナリア諸島沖で自身の豪華ヨット「レディ・ギスレーヌ号」から転落死。当時は事故とも自殺とも言われましたが、後にBBCやイスラエルのメディアが報じたところによれば、彼はイスラエルの諜報機関「モサド」の工作員として活動していたとされています。

実際、マックスウェルの葬儀はイスラエルのオリーブ山で国葬に近い形で執り行われ、当時のイスラエル首相をはじめとする政府高官が参列。UPI通信などもこの異例の扱いを報道しています。一介のメディア王にしては、あまりにも手厚い扱いではないでしょうか。

ソ連崩壊の影の立役者

マックスウェルの「工作員」としての最大の功績は、ソ連との関係構築にありました。

彼は東西冷戦の最中から、ソ連の学術書や科学出版物を西側に流通させるビジネスを展開。これにより、ソ連の内部に深く食い込むことに成功します。そして、ゴルバチョフ政権時代には、書記長本人との親交を深めていったのです。

この関係は単なるビジネスの枠を超えていました。マックスウェルは西側の資本主義的手法をソ連に紹介し、ペレストロイカ(改革)を金融面から支援。結果として、ソ連の経済システムの弱体化を加速させたとも言われています。

歴史の教科書では、ソ連崩壊は内部矛盾と民主化要求の高まりによるものとされていますが、水面下では諜報機関による巧妙な工作が進行していた可能性が指摘されているのです。

笹川良一との接点——大英笹川財団

では、そんなマックスウェルが、なぜ笹川良一と接点を持っていたのでしょうか。

笹川良一(1899-1995)は、戦前は右翼活動家として知られ、戦後はA級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに収監されましたが、不起訴となり釈放。その後、モーターボート競走法の成立に尽力し、日本船舶振興会(現・日本財団)を通じて莫大な資金を動かす存在となりました。

「世界は一家、人類は皆兄弟」というキャッチフレーズで知られる笹川は、晩年は国際的な慈善活動に力を注ぎ、世界保健機関(WHO)のハンセン病制圧活動などへの巨額寄付で知られていました。

大英笹川財団は、そうした国際的慈善事業の一環として設立された組織で、マックスウェルは議長を務めていました。1986年のコモンウェルスゲームズへの支援など、両者のビジネス交流は歴史的事実として記録されています。

表向きは「人道支援」という美しい看板の下で、巨額の資金が動いていました。しかし、こうした財団やチャリティ組織が、時として別の目的——資金洗浄、情報収集、人脈構築——のために利用されることがあるのは、国際政治の世界では公然の秘密です。

そして、ギレーヌ・マックスウェルへ

ロバート・マックスウェルの娘、ギレーヌ・マックスウェル。彼女の名前が世界中で知られるようになったのは、2019年に逮捕された富豪ジェフリー・エプスタインの性犯罪事件においてでした。

エプスタインは未成年者を含む多数の女性への性的虐待で有罪となり(訴追前に拘置所で死亡)、ギレーヌはその「共犯者」「リクルーター」として2021年に有罪判決を受け、現在も服役中です。

興味深いのは、ギレーヌの父ロバートの豪華ヨット「レディ・ギスレーヌ号」と、エプスタインが所有していた潜水艇付きヨットとの奇妙な符合です。さらに、エプスタインもまた、諜報機関との関係が囁かれていた人物でした。

エプスタインのプライベートアイランド「リトル・セント・ジェームズ島」には、世界中の政財界要人、王族、ハリウッドスター、学者などが訪れていたことが判明しています。彼の「フライトログ」(通称エプスタインリスト)には、驚くべき名前が並んでいます。

エプスタインリストと世界の変化

2024年以降、裁判資料の公開により「エプスタインリスト」の一部が明らかになると、世界中で異変が起き始めました。

突然メディアから姿を消す著名人、説明のつかない引退表明、不可解な死——。

もちろん、リストに名前があるだけでは犯罪への関与を意味するわけではありません。しかし、エプスタインが構築していたのは、単なる性犯罪ネットワークではなく、影響力のある人物たちを「コンプロマイズ」(弱みを握る)するための仕組みだったのではないか、という指摘もあります。

そして、そのネットワークは国境を越えて広がっていました。

日本への糸

では、この巨大なネットワークは日本とは無縁だったのでしょうか。

答えはノーです。

笹川良一とマックスウェルの関係が示すように、日本の権力者や財界人もこうした国際的なネットワークの一部だった可能性があります。日本船舶振興会を通じて動いた巨額の資金の一部がどこに流れたのか、誰と誰が実際に繋がっていたのか——完全には明らかになっていません。

また、エプスタインのフライトログや関係者リストに日本人の名前が含まれているかどうかについては、現時点では確定的な情報は公開されていませんが、国際的なビジネスや学術、慈善活動の場で接点を持った人物が存在する可能性は否定できません。

芋づる式の展開は始まっているのか

エプスタイン事件の捜査は現在も継続中です。ギレーヌ・マックスウェルの裁判で明らかになった証言の中には、まだ公開されていない情報、保護されている人物の名前が多数あると言われています。

もし、この網が本格的に日本にまで及ぶとしたら——。

過去の慈善事業、文化交流、学術協力の美名の下で行われていた交流の中に、別の目的が隠されていたとしたら。そして、その証拠が今、少しずつ表に出始めているとしたら。

「芋づる式」という言葉が現実になる日は、そう遠くないのかもしれません。

歴史の裏側で繋がる点と線

この記事で取り上げた事実関係——マックスウェルのモサド関与、オリーブ山での埋葬、ゴルバチョフとの親交、笹川家とのビジネス交流——は、BBC、UPI、イスラエルメディアなどによって報道され、歴史的記録として確認できるものです。

しかし、それらの「点」を結んだ時に浮かび上がる「線」が何を意味するのかは、まだ完全には明らかになっていません。

ひとつ確かなことは、世界の権力構造は私たちが教科書で学ぶよりもはるかに複雑で、表と裏があるということです。そして、その裏側で何十年も前から張り巡らされていたネットワークが、今まさに解きほぐされようとしているということです。

一枚の写真から始まった物語は、やがて世界を揺るがす真実へと繋がっていくのかもしれません。


上城 孝嗣

日本を愛する人と繋がりたい🇯🇵🌸毎日「気づき」を提供するために発信中! 嘘を教える教育や、メディアに破壊され続けてきた日本人の魂。まずは何事にも好奇心を持ち、世界にも目を向ける事。これまで知らなかった多くの事を学ぶと全てが繋がって真実が見えてきます。 「知らないのは恥ではない、知ろうとしないのが恥である」